極上な恋をセンパイと。


センパイ……

今、今……名前……



ポカンとしていると、そのままズカズカとあたしの元へやって来たセンパイに、いきなり両手で肩を掴まれた。


ひッ!

な、なに?



「お前、パスポート持ってるよな?」

「パ、パスポート?」



なにがなんだかわからない。
とにかく、目の前のセンパイはいつものセンパイらしくなくて……。


今日と言う日に限って、部長以外のメンバーが揃ってる。



「……も、持ってます、けど……」


ジッと見つめられて、しどろもどろになりながら言うとセンパイは「よし」と頷いた。


え、なに?


「センパイ、なんなんですか?」

「パリに行くぞ!」

「はい……ええええ!!?」



パパ、パリィイイ!!!?


思わず素っ頓狂な声を上げたあたしに、満足そうに目を細めると。
口角をクイッと持ち上げた。


「ついてくんだろ? 俺に。だったらお前も来い!」

「えええええっ」


自信たっぷりにそう言われ、言葉をなくす。

オフィスにいた誰もがあたし達の様子を見守っていて……。
あたしたちを呆然と眺めていた時東課長が、ポツリとつぶやいた。


「てことは、俺たちの案が…………」


センパイは、そこでやっとあたしから視線を逸らすとみんながいる方へ向き直った。



「はい。 俺たちの案、通りました!」



え、通った!!?

 
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