極上な恋をセンパイと。
◇
な、なにがどうなって、こうなったの?
呆然と見上げた先。
広い広い空間のそこには、慌ただしく動く電光掲示板。
―――空の玄関。
そう、ここは成田空港。
会社から直接ここに連れて来られ、完璧状況に置いてけぼりだ。
な、なにが起きてるの?
呆然としていると、いきなり額を叩かれた。
う、痛い!
「おい。ぼさっとすんな!置いてくぞ」
「……もう、置いてかれてるんですけど」
おでこをさすりながらジト目で睨むと、「え?」と久遠センパイは片眉をクイッと持ち上げた。
「もう!なんでこんな急なんですか!あたし何も聞いてませんっ」
「急って、俺が年末パリに行く事は知ってただろーが」
ビシッとスーツを着こなして、小さな手荷物を持ち上げるとセンパイは意地悪に目を細めた。
……む。なんなのかな、この敗北感は!