極上な恋をセンパイと。






な、なにがどうなって、こうなったの?


呆然と見上げた先。
広い広い空間のそこには、慌ただしく動く電光掲示板。


―――空の玄関。
そう、ここは成田空港。


会社から直接ここに連れて来られ、完璧状況に置いてけぼりだ。


な、なにが起きてるの?
呆然としていると、いきなり額を叩かれた。


う、痛い!



「おい。ぼさっとすんな!置いてくぞ」

「……もう、置いてかれてるんですけど」



おでこをさすりながらジト目で睨むと、「え?」と久遠センパイは片眉をクイッと持ち上げた。



「もう!なんでこんな急なんですか!あたし何も聞いてませんっ」

「急って、俺が年末パリに行く事は知ってただろーが」



ビシッとスーツを着こなして、小さな手荷物を持ち上げるとセンパイは意地悪に目を細めた。



……む。なんなのかな、この敗北感は!

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