極上な恋をセンパイと。
英語、フランス語、中国語、世界の言葉が飛び交う中、聞きなれた言葉が聞こえた。
「おお、久遠くん! わざわざここに来てくれたんだな」
その声の先を見ると、メガネをかけた大柄の男の人が手を上げてこちらに歩いてきた。
誰?
なんだかクマみたい……。
「磯谷さん!」
「今着いたとこ? わざわざ寄ってくれて、いつも悪いね」
バシバシとセンパイの肩を叩くと、その容姿とは裏腹の優しい笑顔を浮かべた磯谷さん。
「すみません、お忙しいのに時間とって頂いて」
磯谷さんに叩かれたところを手で押さえながら、センパイは苦笑いを零す。
「なに言ってんだよ、水臭い! 久遠くんが来るって言うからみんな気合い入ってんだよ?ほら、彼女達が」
「……はは。からかわないで下さい」
すごい……。
久遠センパイを言い負かしてる……。
勢いに負けてるセンパイがなんだかおかしくて、思わず含み笑いが……、ん?
『彼女達?』
その言葉が引っかかって首を傾げたその時、
「Je suis obstructif!」
背後から急に大きな声がして、慌てて顔を上げた。
そこには段ボールを抱えた男の人が立っていて、あたしを睨んでいた。