極上な恋をセンパイと。

え、え?あたし?


「Sors tôt!」


キョトンと固まっていると、さらにイライラした様子でそう言って、あたしを睨む。



「す、すみませんっ!」



飛び退くように隅によると、男の人は段ボールを抱え直して、言ってしまった。


怖……。
何言ってるのか全然わかんなかったけど、とにかく『邪魔』だって言われてた気がする。

邪魔って、別にここ通らなくてもちょーっとよけてくれたら全然通れるのに。


ほんと、それだけ忙しいって事なんだな……。
やっぱりすごい。

1人納得していると、急にポンと肩を叩かれた。



「Un petit……」




振り返るとそこには、警備員のような人が立っていた。



「Tu, l'employé ID met sur fiche?」

「え?」

「C'est une carte de la carte d'identité de l'employé. Montre-le」



なぜか間合いを詰め寄られる。
何を言ってるのかさっぱりわからない。


だけど、いい事じゃないのは確かだった。



差し出された手。

あたしはその手と、険しい警備員の顔を交互に見るしかできなくて。



ど、どうしよう……!



「Viens à cette place un petit」

「きゃ……」


ガシっと手を掴まれて強引に引っ張られた。




と、その時。


「Est-ce que quelque chose était mal?」



その声と一緒に、あたしの前に影が落ちた。

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