極上な恋をセンパイと。
「部長の渡部だ。 突然の異動ご苦労様。新しいプロジェクトチームの一員にとしてよろしく」
「あ、はい。よろしくお願いします」
この人が、あたしの上司……。
差し出された手に、そっと自分の手を重ねてあたしは首を傾げた。
プロジェクト……?
「それじゃ、部署に移動しよう。もう他のみんなは集まってるだろう」
そう言って、渡部部長は先に会議室を後にした。
何が何だか……。
服が好きで、おしゃれが好きで。
アパレル関係の仕事に憧れて、なんとか入社出来たこの会社。
入社してあっと言う間の3年。
今まで、あたしがこなして来たのはただの事務仕事だったけど。
それでも、毎日が充実してた。
電話の応対。
物品の発注。
顧客整理。
伝票管理。
失敗もしたけど、でも自分なりに頑張ってきたつもりだ。
なのに……。
なのに、出社していきなり口頭で異動命令なんて……。
急な命令に戸惑っていたところに、社内でも有名なあの久遠センパイと同じチーム。
うう、神様はあたしに試練をお与えですかっ!
部長の後を追うように会議室を出ようとしていた久遠センパイに、意を決して声をかけた。
「あ、あの!」