極上な恋をセンパイと。

……センパイ。

あたしと警備員の間に割って入るように立つセンパイ。

流暢なフランス語でなにやら話をつけて、あっという間に警備員は行ってしまった。


「……」


び、びっくりした……。

状況が理解できなくて、今まであたしの腕を痛いくらい掴んでいた警備員の姿を目で追った。
と、そこへ真っ黒なスーツが割って入ってきた。

見上げると、目をつり上げたセンパイが……。


ひええ!
怒られるっ!

センパイが何か言おうと、口を開きかけたのと同時に反射的にギュッて目を閉じてしまった。


「大丈夫か?」

「す、すみませんっ……?」


……あ、あれ?
ハッとして顔を上げる。

見上げると、センパイはバツが悪そうにクシャリと後ろ髪をかきあげた。



拍子抜け。
絶対怒られると思ってた……。


「悪かったな……俺がお前を1人にした」

「え」

「俺のミスだ。 悪かった」

「そんな!あたしが悪いんです。勝手にセンパイから離れたから」



なに?

謝るなんて、そんなのセンパイらしくない。


そんな予想外の反応、見せないでください。


調子、狂っちゃう……。


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