極上な恋をセンパイと。
「パートナーはその子か?」
センパイの後ろから顔を出したのは、磯谷さんだ。
「あ、初めまして。佐伯渚です! 挨拶が遅れて申し訳ありません」
慌ててペコリと頭を下げる。
「いやいや、こちらこそ。それにしても驚いたよ!久遠くんがパートナーを連れてくるなんて」
「え、そうなんですか?」
首を傾げたあたしに、磯谷さんはコクリと頷いた。
「この人大変でしょ。頑固だし、強引だし」
「は、はあ……」
「ちょっと磯谷さん、そりゃないでしょ」
がははって豪快に笑いながらそう言う磯谷さんに苦笑いしか返せない。
センパイも呆れたように目を細めた。
ちゃんと信頼関係ができてるんだな。
クスリと笑ったあたしを見て、磯谷さんは言葉を付け足した。
「でも……」
「?」
「ツラいとかキツいとか、そう言う本音隠すとこあるから。渚さん、よーく見張っておいてね」
「…………」
磯谷さん……。
彼の瞳がすっごく優しかったら、あたしは思わずうなずいていた。
「はい」
ーーーー……
目の前には、おいしそうな料理が並んでいた。
それにフォークとナイフを添えながら、あたしはワインに手を伸ばす。
「それにしても、磯谷さんっていい方ですね!」
「……まあな。お節介なとこもあるけど。……って、お前ちょっと飲み過ぎなんじゃね?明日も仕事って事忘れんなよ?」
ホテルに着いたあたし達は、最上階にあるレストランでディナー中。
うっとりしちゃうようなパリの夜景を見ながらワインをたしなむ……。
最高……!
「……聞いてんのか?」
「聞いてますよ」
センパイの呆れたような声。
てゆか、あたしよりセンパイの方が飲んでますが。
ジロリと睨むと、センパイはなぜかおかしそうに口元をクイッと持ち上げた。