極上な恋をセンパイと。
「お前って、変わってんな」
そう言ってセンパイは、ワイングラスを口に運ぶ。
それはそれは、意地悪な顔。
「ど、どういう意味ですか?」
だけど、その中になぜかいつもとは違う優しさを感じてしまうのは、今が夜で、しかもパリで、ロマンチックなシチュエーションだからだろうか。
平静を装ってそう言ったあたしを見て、センパイは目を細めると、
「そのまんまの意味だけど?」
って言って笑った。
なんなんですかその顔……。
楽しそうに笑うセンパイに、不覚にも一瞬言葉をなくしてしまった。
「あ……あのですね! 変わってるのはあたしよりセンパイだと思います」
「っはは。そうかもな」
「そ、そーですよ!」
残っていたワイングラスを傾ける。
だって、なんだかセンパイをこれ以上見ていられなくて。
……と、言うか。
目が離せなくなりそうで怖い。
そう言う魅力をこの人は持ってる、と思う。
でも、変わってると思うのは本当。
だって、センパイくらいの人なのに、浮いた話一つも聞かないんだもん。
お金もあるでしょ?
上からも絶大の信頼を得てる久遠センパイ。
将来を有望視されてる。
それに、その名誉に劣らないこのルックス。
絶対女の人がほっとかないはずなのに、あの怖~い噂話以外は正直聞いたことない。
……。
センパイは……
「……センパイは、彼女いないんですか?」
「は?」
……。
…………いやいやいや。
あたし、なに聞いちゃってんの?
こんなこと聞いてど、どうするつもりなの?
つい、口走っちゃったけど……
どうすんのよ!