極上な恋をセンパイと。

すっかり拍子抜け。

会社で、あたしに鬼のように指示をしてくるセンパイとはまるで別人。


これが普段のセンパイなのかな……。



「明日さ」

「はい」


持っていた資料を枕元のテーブルに置きながらセンパイがぶっきらぼうに言う。


「余裕あったら、佐伯の行きたい場所にでも行くか」

「……え、え? いいんですか?」

「あんまり時間かけれないだろうけどな」



うそっ!
うそーっ!

思わぬ提案に、潜っていた布団から飛び起きた。



「センパイ!ありがとうございますっ」

「! あぶなっ……」


やったぁ!
憧れのパリッ!
花の都、パリ観光だよぉ。

興奮のあまり、勢い余ってセンパイに飛びついちゃったあたし……。


その衝撃で視界がグラリと反転し……。







「…………」


シンと静まり返った室内。
そこに聞こえるのは、ギシギシってスプリングの軋む音。


そして……。



「……いてぇ……」



恐ろしく低い声にハッと我に返る。




ベッドに押し倒される形で仰向けになったセンパイの上に

あたしが覆いかぶさるように乗っかっていて。


な、なにこれ……。
こ、これじゃ……あたしがまるで襲っ……。




「……ったく。 何してんだよ」



片眉をクイッと持ち上げて、
呆れたように笑うセンパイ。



カッと体が火照るのを感じた。

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