極上な恋をセンパイと。
「あぶねーな。 大丈夫か?」
センパイの声にそっと目を開ける。
「だ、大丈夫です……すみません……」
あたしが転げ落ちないように、センパイがしっかりと両手を掴んでくれていた。
は、恥ずかしい……。
体勢を立て直して、自分のベッドにそそくさと戻る。
「…………」
うう。
まだ心臓がうるさい。
身体の血管全部がドクンって波打ってる。
センパイ……。
上に乗っかったあたしを、押しのけようともしなかった……。
「佐伯」
「は、はい!」
ハッとして顔を上げると、あたしを向かい合うようにベッドに座ったセンパイがいて。
すっかり調子の狂ってしまったあたしは、泣き出しそうなくらいドギマギしていた。
今度は何を言われるんだろう……。
ドキン
ドキン
「観光が出来てはしゃぐのはいいけど、仕事だって事忘れんな。明日は5時起きだからな」
「……はい」
ピシャリと言い切って、さっさとベッドに潜ったセンパイ。
その背中を見ていたら、胸のときめきはどこかへ消えてしまった。
やっぱりセンパイはセンパイだ……。