極上な恋をセンパイと。

「―――、え……?」


受話器を握りしめたまま、言葉を失ってしまった。

電話の相手は、取引のお得意様。


『何度も確認したんですが、商品の数が合わないんです。どうなってますか?』

「そんなはずはないんですが……申し訳ありません。一度確認して、折り返させて下さい」


ガチャ……。

受話器を置いて、慌ててファイルを開く。

えっと……。
発注したのは、先週……。

覚えてる。

あたしが、久遠センパイに任されたんだ。



鈍く鳴る心臓を抑えながら、数字を確認する。



「……」



ドクン ドクン



……、間違ってる。

あたしが、間違えた。


最近、ボーっとしてて……。
打ち間違えたんだ。

どうしよう、顧客会社へ配る予定だったものが全然足りない……。

明後日には限定で店頭に置いてもらうはずだったのに、これじゃ間に合わない……。

ひとりきりのオフィスで、ファイルに目を落としたまま、茫然としていると、不意に手元に影が落ちた。



「なにしてんだ?んなとこ突っ立って」

「……っ」



バサバサ!



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