極上な恋をセンパイと。
「あ、す、すみません」
思わず落としてしまったファイルを拾いながら、散らばった書類をかき集める。
何してるの、あたし!
「ったく。鈍くせぇな」
からかうような、少しだけ優しい声が降ってくる。
呆れたようにそう言って、一緒に書類を集めてくれていたその手がピタリと止まった。
「……お前、どうした?」
「…………、センパイ!あ、あたしっ」
唇をキュッと噛み締めてガバリと顔を上げると、同じ目線のセンパイの瞳が小さく見開いた。
「……」
事情を説明すると、それまで黙っていたセンパイが大げさなため息と共に言葉を吐き出した。
「なんでさっさとそれを言わないんだっ」
「っ、すみませんでした」
思わずビクリと肩が跳ねる。
思い切り頭を下げていると、ガタガタと忙しなく動く気配がしてオズオズと顔を上げる。
……え?
「なにボサっとしてんだ。行くぞ」
「え、センパイ……」
行くって、これから?
だってまだ顧客先に、謝罪の電話してない……。
「今ならまだ間に合う。工場行って、頭下げるぞ」
「こ、工場ですか?」
顧客先じゃなくて?