極上な恋をセンパイと。
パリに出張に行った時。
見せてくれたあの笑顔は、あれ以来拝めていない。
センパイをあんな風にするほどの、魅力的なものがココにはないんだろうか。
「……」
カタカタ
カタカタ、タン
カタカタカタカタ……
―――………
「佐伯?」
センパイ……
「佐伯、どうした?」
センパイは……
「……」
いつの間にか止んだタイピングの音にも気付かづに、『凄い』と楽しそうに笑っていたセンパイのあの時の笑顔が頭の中で、何度も浮かぶ。
浮かんでは消え、浮かんでは、消える。
あたしに向けた笑顔じゃない。
でも、思い返すセンパイは、間違いなくあたしに笑ってくれていた。
……センパイは、どんな人なの?
その時、
「あたっ」
いきなり、おでこに痛みが走った。
えっ!!!?
ハッとして何度も瞬きを繰り返す。
気が付くと、目の前には呆れたようにため息をついたセンパイがいて。
「……お前さ、なんなの?」
「な、なんなのって、センパイこそ、な、なにするんですかいきなり!」
はたかれたおでこがジンジン痛い。
そこをさするようにして涙目で訴えると、頬杖をついたセンパイが意地悪く口角を吊り上げた。
「んな目で見つめんな。
手ぇ出しそうになるだろうが」
…………え?
「…………えええっ」