極上な恋をセンパイと。

うちの会社はアパレル業界の中でも大きい方で、都内の中枢にあるビルに本社を構えてる。


エレベーターの中はまさに缶詰状態。
あたし達のオフィスがある31階にたどり着くまでに、いろんな人が出入りをした。

その中にも知った顔があって「おはようございます」ってそれぞれ小さく挨拶を交わす。


毎日の見慣れた光景。
だけど、今日はそれすらまったく別世界に見えてしまう。




「さ、ここだ」


部長に案内されて入ったオフィスは、そんなには広くなくて、10人程度入れる場所だった。


「失礼します……」


あたしは小さくそう言って、部長と久遠センパイの後ろからそそくさと中に入った。


チラリと顔を上げると、すでに4人いて。
みんな初めて見るような方々。



「おはよう。みんな揃ってるな」



部長のその声に、それぞれ席を立って集まってきた。



「じゃあ、まずは自己紹介だな。 俺はこの新規事業部の部長で渡部一志(わたべかずし)。それから……」


そう言って、部長が目配せをした。


「初めまして、課長の時東(ときとう)です。新しい事業を立ち上げれるという事で、何かと大変かと思いますが、皆さんと協力して成功させたいと思っています。よろしく」


「よろしくお願いします」


みんな声をそろえて返す。



うわわ……。
この時東課長もすっごく綺麗な顔してるし……。


課長は口の端をクイッと持ち上げて、あたしを見た。



……え?あたし?

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