極上な恋をセンパイと。
センパイとAfter5
―――バタン。
「はあ……マジなんなんすか、アレは」
会議室を出た瞬間、目の前で盛大にため息をついて見せたのは、見るからに疲れ切っている真山くんだ。
「でも、言われたことはもっともだよ。もう一度案を練りなおそう」
「課長はなんでそんな冷静なんですかー!俺、少しも言い返せなかったのが悔しいっす!」
「まあまあ」
騒ぐ真山くんをなだめるのは、時東課長。
なぜかその構図が、最近はとてもしっくりきていた。
課長になら、真山くんを任せて安心なんだ。
「ま、とりあえず飯にしよう。腹が減ってはなんとやらってね」
そう言って、にこやかに微笑んだのは柘植さん。
彼こそ飄々としていて、あまりつかめない。
あたしはそんなやり取りを後ろについて歩きながら眺めていた。
「あーあ、こんな時久遠センパイがいてくれたらなぁ。偉そうに座ってるだけの奴なんか言い負かしてくれるのに。渚さん! 久遠センパイ最近どうしたんすか!」
「へ……」
いきなり話を振られ、完全に不意をつかれ気の抜けた返事をしてしまった。
「あ、あたしに聞かれても……」
しどろもどろになりながら、真山くんのジトーッとした視線を受け止めていると、時東課長が彼の肩をポンとたたいた。