極上な恋をセンパイと。
「あ!久遠センパイ、来てくれたんですね~。待ってたんですよ、渚さんがっ」
「は!?」
「いやもちろん俺も待ってましたぁ」
あたしの体ごと押しやって、真山くんは久遠センパイに身を乗り出した。
「ちょ、真山くん、重いっ」
「なんだコイツ、すげぇ酔ってんな」
久遠センパイは、それでもあんまり興味なさそうに真山くんにチラリと視線を投げただけ。
もうあたしを巻き込むな~!
真山くんの全体重を受け止めながら、必死で彼の体を押しやった。
重いし、お酒くさいっ
「真山くん、そろそろ帰るよっ」
「ええ?でも久遠センパイがきてくれたんだし、これからでしょお」
そ、そんなあ!
ギョッとしていると、不意に体が軽くなる。
気が付くと、時東課長が真山くんの腕を引いてくれていた。
た、助かった!
「君はここまで。さ、タクシー呼んだから帰りますよ、真山くん」
「ええ?なんでですかあ?俺は平気っす!まだ飲めマース」
ダメだ……。
これ、このまま寝るパターンだよね。
すでにウトウトし始めてる真山くんに、思わず苦笑いになる。
「はいはい。 いいからほら、しっかりしなさい」
時東課長は、そんな真山くんを抱えるように立たせるとあたしに視線を落とした。
「久遠くん、悪いね。俺は彼を送って行くから」
「いえ。俺は平気です」
「じゃ、佐伯さん。お疲れさま」
「あ、はい!お疲れ様でしたっ」
ペコリと頭を下げると、時東課長はニコリと笑ってくれた。
そして、フラフラの真山くんを引きずるようにして、お店を出て行った。
……さすが、課長だ……。
真山くんの扱い、慣れてる。
なんて感心していて、ハッとした。
え、ちょ、ちょっと待って?
と、言う事は……。
「…………」
「…………」
センパイと
ふ、ふたりっきりーーー!!?