極上な恋をセンパイと。
――――……え……。
それは一瞬の出来事だった。
夢? 妄想? それとも悪い冗談?
よくわからないまま、強い力で引き寄せられて。
気が付いた時には、センパイの腕の中にすっぽりと収まっていた。
「……」
「……え、あの……せんぱ……」
な、な……なっ!!?
なにっ!!!?
茫然として、時間が止まっていたのはどれくらいだった?
フワリと甘い香りに包まれたまま、身動きひとつできない。
ただ、耳に触れているのはセンパイの頬なんだってわかる。
チリチリとまるで熱を持ってるかのように、熱くなる。
「負けた」
「……へっ?」
ちょっとだけ掠れた声が、耳たぶをかすめた。
ビクリと飛び上がりそうになって、それをなんとか堪える。
この腕から逃れることも、以外と厚い胸板を突き飛ばすことも出来ず。
ただ固まってしまったあたしに、センパイは苦笑した。
自分の腕の中でジッとしているあたしの事が、可笑しいらしい。
か、からかわれてる?