極上な恋をセンパイと。
「手ぇ、出さない自信あったんだけどな」
「え?」
――――久遠センパイ?
センパイは抱きしめた腕を解くわけでもなく、まるで確かめるようにさらにきつく回す。
「お前、いい匂いだな……」
「っ……」
下ろした髪に顔を埋める仕草をして、囁くように言われた。
ドックンドックン
心臓は加速を続け、今にも爆発しちゃいそう。
カラカラに乾いた唇をキュッと引き結んで、反論する。
「センパイ、離してくださいっ」
かろうじて出た小さな抵抗。
でもセンパイは、信じられない事を言う。
「お前が誘ったんだろ」
「へ?」
さ、誘った?あたしがっ!!?
信じられない気持ちで固まっていると、センパイは少しだけ腕の力を解いて少しの隙間からあたしを見下ろした。