極上な恋をセンパイと。
「渚ちゃん、負けるなよ」
「え?」
負けるな?
そう言われてさらに首を傾げたあたしの頭に、ポンと手が乗った。
そのまま2、3回跳ねた柘植さんの手。
……え?
意味深に微笑まれ、ドギマギしていると、低い唸り声に我に返った。
「……佐伯」
「は、はいっ!」
慌てて振り返る。
はあとため息まじりにそう言って、ジロリと睨まれた。
「お前いつまで休憩してんだっ、これコピーしとけって言っただろ!」
「は、はいぃぃ!」
ひーーん!
鬼っ!悪魔っ!大魔王ーー!
やっぱり……やっぱり昨日のキスは、夢だったんだぁ!
でも……! でもあたし、負けないんだからぁぁ!
これでもかって程睨まれて、半べそのあたしはコピー室まで走るのだった。