極上な恋をセンパイと。
「はあ……」
勝手に零れるため息は、何度目だろうか。
つかれた……。
ダメだよね。なんだかあたしひとりアタフタして。
空回りして。
センパイはいつも通りで何も変わらないし、あたしも普通にしなくちゃ。
動揺しないようにしなくちゃ。
なかったこと。
なかったこと。
センパイとのキスなんて、なかったこと。
何度も自分に言い聞かせて、あたしは「よし」と頷いた。
気持ちがぶれないように、キュッときつく唇を結んで資料を両手に抱えてコピー室を出ようと踵を返した。