極上な恋をセンパイと。
やっと仕事が終わったのは、就業時間をとっくにまわった7時だった。
鉛のような重たい足を引きづりながら、エレベーターに乗り込んだ。
すっかり疲れ切ったサラリーマンが次々に乗り込んでくる。
きっとあたしも、この人たちと同じ顔してるんだろうなーとか、ぼんやり考えていた。
あーあ、こんなに疲れて帰っても家に誰もいないとか。
切ない……。
こうしてひとりで暮らすようになって、初めてわかる。
親のありがたさ。
ほんと、お母さんってすごいなぁって改めて実感していた。
一階のフロアについて、押し出されるようにエレベーターから外へと人が流れていく。
あたしもその波に乗って歩いていると、吸い寄せられるように視線がある場所に釘付けになった。
……あれは……、久遠、センパイ?