極上な恋をセンパイと。
ロビーの受付。
その前には、確かに見覚えのある横顔が。
そして、久遠センパイの視線の先。
それは、とびきり美人と男性社員の間でもっぱら噂の的。
この会社のマドンナ的存在で、かつ高嶺の花である白鳥百合(しらとりゆり)、その人だった。
彼女は花のような笑顔を、惜しげもなくセンパイに向けている。
それを受けた、センパイも……心なしかデレっとしてるように見える。
……む。なにあれ。
あたしにはいつも「このアホ!」なんて怒鳴ってくるくせに。
ジトーっと睨んでいると、白鳥百合は久遠センパイに何かを手渡した。
あ!
ちょっとー、仮にもビルの玄関口!
会社の顔でしょー!
そんな場所で堂々となにしてるのよぉ!
「……くっ」
……はッ!
いつの間にか柱の陰に隠れていた自分に気づいて、慌てて体勢を立て直した。
べ、別にセンパイがどこの誰といようとあたしには関係ないし?
センパイがその気なら、あ、あたしだって!
フン!と鼻を鳴らしたその時、白鳥百合が顔を上げた。
…………へ?
まるで射抜くような視線。
それは、紛れもなく……あたしを捕えていた。
って……な、なんなの?