極上な恋をセンパイと。
鋭い眼光。
え、あ、あたし?
慌ててキョロキョロと周りを見渡した。
そして、もう一度視線を戻す。
でも、白鳥百合はいつものように椅子に座っていて、受付業務をこなしていた。
センパイの姿は……ない。
なんだったのかな。
さっきの目は、噂されてるような、マドンナらしからぬ表情だった。
「……」
茫然としてると、不意に目の前に影が落ちた。
「んなアホ面して、なに突っ立ってんだよ」
「……え?」
呆れたような声色に、おまけにため息も落ちてきてキョトンと顔を上げた。
と、そこにはさっきまで受け付けにいたはずの、久遠センパイが。
「! せ、センパイっ? な、なんですかっ」
ギョッとして、思い切り飛び退いてしまった。
そんなあたしに、心底不服そうな顔をした久遠センパイは、アーモンドの瞳をグッと細めると腕を組んでもう一度ため息をついた。
「……なんですか、じゃねーっつの。お前がなんなんだよ。 ちゃんと資料できたんだろうな」
容赦ない言葉が飛んでくる。
「出来てます! センパイのデスクに置いてありますから、確認お願いします!」
思い切りそれを体中で受けながらも、そう言ってツンとセンパイから顔を背けた。