極上な恋をセンパイと。
あたしのグラスは、もう半分の残ってない。
「お酒とかあんまり飲める女子って可愛くないですよねぇ」
「そ、そうかなぁ? あたし、そーいう甘ったるいお酒、ダメなんだよね」
「え~?じゃあ辛い物好きとか?」
「え?す、好きだけど……」
「わあ! 本物の酒豪だぁ~」
ほ、本物?
本物と、ニセモノがあるの?
絶対悪意あるよね。
真ん中に座るセンパイの向こう側で、ニヤリと笑った口をあたしは見逃さなかった。
「あはは……」
思わず頬が引きつりそうになりながらも、なんとか笑顔を返した。
くぅ、センパイ!
なんでこのマドンナがここにいるんですかっ!
って、そもそもあたしが余分に呼ばれてるんじゃないの?
このBARで白鳥百合と会った瞬間の顔ときたら……。
嫌ですよあたしっ!
ジロリと久遠センパイを見上げた。
頬杖をついたセンパイは、たくさん並んだフルーツをパクッと口に放り込んだところで。
あたしの視線に気付いて、「ん?」なんて片眉を上げて見せた。
ん?じゃないですよっ
もぉ……。
「わあ!久遠さんの手、おっきい~。それに、指、キレイですね」
「は?指? 別に他のやつと対して変わんねーだろ」
「いえいえ!ほら、指だって長いしー。あたし、手が綺麗な人好きなんです~」
……くぅ。
な、なんなのよ、もう!
センパイも、なに手触らせてんの?
無表情だけど、だけど態度で示さなきゃわからないんです!
「……」
って、あたしなにムカムカしてんの。
あたしとセンパイは、別にそう言うのじゃないんだってば。
フルフルと首を振って、残りのカクテルを飲み干した。
コツ、と静かにグラスをカウンターに置いた、その時。
聞き覚えのある声がして、顔を上げた。