極上な恋をセンパイと。
「……かもな。 ま、でもいいんじゃね?」
「……」
全然意味がわかんない。
きっとこれ以上聞いても、答えてくれる気はないんだろうな。
「今何時だ?」
ムッとしていると、そう言ったセンパイがまた駅に向かって歩き始めた。
「……9時ですけど」
言った瞬間、また手首を掴まれた。
え、えっ!!?
ギョッとして、先を行くセンパイを見上げる。
それと同時にセンパイがあたしを振り返った。
「おし。 どっかで飲みなおそーぜ」
「へ……」
の、飲み直す!?
目を見開いているあたしのことなんか、まるでお構いなしで、センパイはズンズン進んでいく。
そして、あたしが連れて行かれた場所は……。
「この前さ、シャンパン貰ったんだけど、ひとりで開けるのももったいねーし。 ほら、上がれよ」
「……」
あ、上がれって……。
せ、センパイの家なのぉぉ?
な、なにこの急展開……。
ドックンドックン!
まるで警告音のように鳴り響く鼓動。
すっきりとした玄関に立ちつくしたまま、あたしは動き出せずに、ただ自分の心臓の音を聞いていた。