極上な恋をセンパイと。
センパイの部屋
ふわりとアロマの香りのするリビング。
通されたのは、シンプルな家具で統一されたLDK。
必要なもの以外は何もない、言ってみれば生活感なんて微塵も感じさせない。
「なに、んなとこ突っ立ってんだよ」
「ひゃあっ」
茫然と部屋を眺めていると、不意に声をかけられて慌てて飛び退いた。
すぐ隣には、キョトンと瞬きをしたセンパイがいて。
それからすぐに、イジワルそうに笑った。
「なんつー反応。別にいきなり襲ったりしねーから」
「ん、んなっ!!?」
ギョッとして、持っていた鞄をギュッと胸に抱く。
い、今……今、いきなりって言いました?
いきなり襲わなくても、後で襲うって意味っ!!?
そんなの、だ、ダメっ!
ぜっっっったいダメなんだからっ!
「か、帰ります!」
「は?」
思わず後退りしながらそう言う。
カウンターにお財布やらスマホを置きながら、センパイが振り返った。
切れ長の瞳がまっすぐあたしを見降ろしていて、それだけでたじろいでしまう。
「こんなの、ダメですよ。その時の雰囲気に流されたりしてたら……後で絶対後悔します。だから、あの、あたしは帰ります」
そうは言ってみても、あたしはセンパイの事が好きで……。
だけどセンパイの気持ちはわからなくて……。
それでも、もし。
もしここで、センパイが「好きだ」って……。
そう言ってくれたなら、あたしはきっと……。
「流されなきゃいいんだろ?」
「はい……へ?」