おいてきぼりのピエロ
『上手いな』
『当たり前っ。ずっと酒を作る仕事しとったし』
『いつから働き始めたん?』
『お前いくつ?』
『18!』
すると、彼は少し目を細めてわたしを見つめながら微笑した。
『じゃあ、お前と同じ歳からだ』
その表情が、なんだか痛々しくて。
完璧な笑顔に見えるのに、何故か切ない。
『なんか、思い残しがあんの?』
『思い残しって…。なんか俺、死ぬみたいだな』
ははっ、と軽く笑う彼。
『ただ、懐かしいなって思っただけだよ』
『なにがー?』
『18のときが』