中学1年生
「千晶(チアキ)もう1年生ゲットしたの!?」

「ふふーん♪」

 “千晶”先輩は2音へ行った。

 2音は第2音楽室の略。

 ちなみに第1音楽室は1音☆

「香奈(カナ)ちゃん、この子教えててくれる?」

「はーい」

 “香奈”先輩が振り向いた。

 ジャージの色からして、千晶先輩は2年、香奈先輩は1年……

 つまり、あたしが入学したら3年と2年だ。

「香奈です!名前は?」

「朝芽です……」

「朝芽ちゃんか。じゃあアサちゃんね♪

 まず、これ吹いてみて?」

 香奈先輩はフルートより短くて、キーのないものを渡した。

「吹き方はね、息を下に入れるように、でも実際は正面のろうそくを消すように……って、わかりづらいか」

 香奈先輩は笑った。

「こんな感じなんだけど」

 そう言って香奈先輩はあたしが持ってる部分と同じものを自分のフルートから抜いた。

 なるほど、これもフルートの一部なのか。

 すると香奈先輩は音を出した。


 鳥の声のような音色だった。


 って、普通の人は「小鳥のさえずりのような」って言うんだろうな。

「ちなみにこれはマウスピース。これが吹けたら本体つけようね」

「はい」

 あたしは見よう見まねで吹いてみた。

 先輩ほどではないけど、結構音が出た。

「アサちゃんすごくない!?」

 香奈先輩はすごく驚いた(様子だった)。

「こんなに吹けるのアサちゃんだけだよ!!」

 まあ、今のとこフルート希望者あたしだけだからね。

「ありがとうございます……」

「じゃあ、吹けるから本体つけよっか♪」

 香奈先輩はそう言ってマウスピースを本体につけた。
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