LEVEL【番外編】
見たくないのに見てしまう凌。
身長の高い凌が、
少しだけ小さく思えた。
今ならすぐに勝てそうで、
今ならすぐに折れちゃいそうで、
今ならすぐに死んじゃいそうで、
今ならすぐに――…
泣きそうだった。
「また倉敷くん絡み?」
「………うん」
「今は辛いけどきっと元に戻るよ。付き合ったんだから…まだチャンスあるよ」
「………そうだよね」
口ではそう言ったけど、やっぱり凌が離れない。
あんな凌をみるのは久しぶりで、
なんだか頼りない。
いつも大人みたいな人間だから、
いつも宿題は忘れないし、
いつも同じ時間のバスに乗るし
いつも完璧で、
そんな人間がショック受けると、
こんな風になっちゃうんだね。
今のあたしには、
『幼馴染』の凌より、
『好きな男』がいつもより負けていた。
そこにいるのは、小さな男の子に見えた。