LEVEL【番外編】




「翔子…」

「翔子…」

「翔子…」


何回呼んでも翔子は顔を上げないで涙を止めない。
好きな人が泣くと、けっこう辛い。
予想以上に辛い。



「泣くな…」

俺が翔子の顔に触れようとしたとき、

「いや…」

「…」

「辛い…」


どんなに痛い思いをしても『辛い』なんて言わなかった。
そんな最強の翔子が、「辛い」って言った。



翔子がドアノブに触れて、俺の部屋から出て行こうとした。

バンッ


翔子はその音に肩をすくめた。




「なっ…」

「好きだ」

「……………ぇ……」

「もぅ言わない」
あんな恥かしい事言えるか///

「………ほん…と…?」

やっと上げた顔は、涙でグチャグチャ。

「………ホント…///」

「……笑美…は………?」
俺が誰?という顔をしたら
「杉浦…笑美」
と言った。

「何とも思ってない」
そぅ笑うと翔子は見開いて顔を真っ赤にした。

「(分かりやす……(笑))」





< 188 / 199 >

この作品をシェア

pagetop