ぶたねこ“ハッピー”の冒険
じぶん放棄
「トビラが閉まります。
駆け込み乗車はオヤメ下さい。」

《プッシュ〜ッ》

ギリギリで間に合うはずの電車は、あと50センチというところで無情にもドアを閉めた。

「なんだよ、えこひいきメタボ野郎!。若いコだったら開けるくせに!」
昨日もミニはいてたコが、再オープンでよゆうで乗ってったじゃんか。

『ケチくそっ!』って言ってやろうとかまえてると、敵は下から窓ガラスをガチャンと閉めた。

…。

とたんに現実というツナミが押し寄せる。

あ〜ぁ、また遅刻か…。

なんでいつもこうなるんだ。

文化祭の出し物を決める大事なミーティング。
しかも今日は、オレの持ってくるDVDを、皆で見ようという集まりなのに…。

そのうちリーダーの矢野から、きっつい内容のメールがくるはずだな。

矢野は色白直毛のまじめを絵に書いたようなヤツ。

やなヤツじゃないけど、約束に遅れたりすることをとても嫌がる。

この世でサイテーな人間!とでも言いそうな勢いで、届くメールには、正直ウンザリなんだよな。

一日を乗り切るのに必要なエネルギーを50%も失う前に、電源オフっと。

ただでさえ、さっきまでの元カノからの電話の、ショッキングな内容に頭くるくるなのに…。
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