ぶたねこ“ハッピー”の冒険
真ん中あたりの低い席に、体を丸めるように座り、ゆっくり水を飲んだ。
あまりキョロキョロしないように注意深くバスの中、それから外の様子を伺った。
ステッキを持った白髪の老人が一人、目を閉じて優先席に座っている。サイレンを鳴らしたパトカーとすれ違ってもよさそうなのに、何も無かったようにバスは走っている。
パトカーをとりに行くと歩く警官、飛び掛かってきたネコ、追われているようでもないが、じっと見られているような感じも、何かがおかしい気がする。
『次は終点、新宿駅西口。どなた様も、お忘れものの無いよう…』
ついに何事もなく新宿駅まで戻ってきた。

それにしても、あのネコは何だろう、まるで俺を助けるみたいに警官に飛び掛かったけど。
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