ぶたねこ“ハッピー”の冒険
くろ猫仮面
5丁目カフェに向かって歩いていると、謎のおやじさんの店の裏から叫ぶような声が聞こえる。
「いけっ、ルナ!
くろ猫仮面に負けるな!」
あっ、さっきのおやじだ。今度は何だ、くろ猫仮面てなんだ?
声のする方へ行ってみたいけど店の横の、ひと一人通れない隙間の奥から聞こえてくる。
謎は謎としてとっておいて、カフェに向かうことにした。
「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ。」
久しぶりの店をキョロキョロと見回して、「変わってないね」と、YUIが言う。
「私、ほうれん草のサラダとカプチーノ」
「じゃオレは海の幸スパゲティーとジンジャエール」
昨夜『グラン・ブルー』を見たせいもあって、迷わずシーフードを選んだ。
そういえば朝から何にも食べてなかった。
数日前から、卒論のテーマを考え、少し書いては気分転換に映画を見る生活をしてるので曜日や朝夕の感覚が無くなっていた。
「だからミーティングを今日だと勘違いしたんだ。」
ぶつぶつ言ってると、YUIが左側を指差しながら言った。
「あっ、くろ猫仮面!」
壁に貼ってあるポスターには、8月公演『くろ猫仮面』と書いてある。
あのおやじさん、この店に来てんのかな?
いや、イメージが違いすぎる。
きっとあの店にも「ポスター貼らせて下さい。」って若い劇団員がお願いしてるってことだな。きっとそうだ。
ポスターには仮面を付けた少年のような出で立ちのくろ猫仮面と、探偵らしきおじさんと、猫が描かれていた。
そのおじさんの格好が、さっき公園横の小屋から出てきた時の、おやじさんの格好によく似てる。
演劇ファンなのかもな…。
「よろしかったら前売券もありますよ。」
先に飲み物を持ってきた店員が声をかけてきた。
二人してポスターをじっと見てれば、演劇に興味あると思われてもしょうがないよな。
「どんな話なんですか?」
内容なんて聞くつもりじゃなかったが、思わず言葉が出てしまっていた。
「いけっ、ルナ!
くろ猫仮面に負けるな!」
あっ、さっきのおやじだ。今度は何だ、くろ猫仮面てなんだ?
声のする方へ行ってみたいけど店の横の、ひと一人通れない隙間の奥から聞こえてくる。
謎は謎としてとっておいて、カフェに向かうことにした。
「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ。」
久しぶりの店をキョロキョロと見回して、「変わってないね」と、YUIが言う。
「私、ほうれん草のサラダとカプチーノ」
「じゃオレは海の幸スパゲティーとジンジャエール」
昨夜『グラン・ブルー』を見たせいもあって、迷わずシーフードを選んだ。
そういえば朝から何にも食べてなかった。
数日前から、卒論のテーマを考え、少し書いては気分転換に映画を見る生活をしてるので曜日や朝夕の感覚が無くなっていた。
「だからミーティングを今日だと勘違いしたんだ。」
ぶつぶつ言ってると、YUIが左側を指差しながら言った。
「あっ、くろ猫仮面!」
壁に貼ってあるポスターには、8月公演『くろ猫仮面』と書いてある。
あのおやじさん、この店に来てんのかな?
いや、イメージが違いすぎる。
きっとあの店にも「ポスター貼らせて下さい。」って若い劇団員がお願いしてるってことだな。きっとそうだ。
ポスターには仮面を付けた少年のような出で立ちのくろ猫仮面と、探偵らしきおじさんと、猫が描かれていた。
そのおじさんの格好が、さっき公園横の小屋から出てきた時の、おやじさんの格好によく似てる。
演劇ファンなのかもな…。
「よろしかったら前売券もありますよ。」
先に飲み物を持ってきた店員が声をかけてきた。
二人してポスターをじっと見てれば、演劇に興味あると思われてもしょうがないよな。
「どんな話なんですか?」
内容なんて聞くつもりじゃなかったが、思わず言葉が出てしまっていた。