お嬢様と執事さん
「とっても♪」
安心させるようにニッコリ微笑む
「良かった。あぁ、それと遥ちゃんには専属執事を付けたからね?」
専属執事……?
「桐生、こちらへ」
「はい」
低いテノールの声が聞こえた
どこからともなく、執事が現れた
サラサラの黒髪がうなじにかかるくらいに伸び
一重で切れ長の瞳には優しそうな色が滲んでいる
漆黒の執事服に身を包んだ彼にしばらく見とれてしまった
「彼は桐生。今日から遥ちゃんの執事だからね
わからないことがあれば彼に聞いてね?」
「わかりました……」
流されるがままに返事をしてしまったが
良く考えると私に専属執事が付いちゃっていいのかな……?
「遥様、桐生と申します。本日から遥様の執事を務めさせて頂きます
なにかご用がございましたらなんなりとお申し付けください」
「あ、はい!あの桐生さん?」
「はい」
「私に専属の執事さんが付いちゃっていいんですか?」
「旦那様がお決めになったことですので」
「そうですか……」
「時にお嬢様」
「はい?」
なんだろう……?