お嬢様と執事さん
「なんの部屋やろな…?」
「さあ?あれ…そういえば、薫の執事さんは?」
キョロキョロと見渡すが、先ほどから姿が見えない。
「ああ、あいつは今作戦のために準備しとるんよ。そのうち嫌でも会うから気にせんとき~」
なにか企んでるような怪しい微笑みを浮かべ、ニヤニヤと部屋の中を漁った。
「ここにはないようどすな…ほなほかのとこ行きまひょ」
サクサクと部屋を片っ端から片付けていくが……
「広すぎ……」
「辛抱せんと。これくらいでへばったらこの先生きて行けへんよ?」
「あう…頑張るっ」
「おうっ」
そんな二人のやりとりを、微笑ましい気持ちと、どこか複雑そうな表情で見守っている連に気づくものはいなかった。