僕は君の虜~甘め短編集~
そして、僕は雪那ちゃんの顔を見ずに後ろを向く
「明日、いつもの場所で待ってる。」
震える声を、平静に保って
これが
これが僕の最後の格好つけ
いつもの調子で
平気そうな、おちゃらけた声で
僕はそう言って走り去った
雨の中、走る足は水でビショビショ
この時点で格好よくないじゃん、とか思いつつもふはっと笑う
「僕って、格好つけだったんだね。」
今頃、妙なプライドに気付く僕
馬鹿だね、なんて1人で笑いながら僕は自分の家へ帰った