僕は君の虜~甘め短編集~
それから、いくらか時間が過ぎもうすぐクライマックスの花火となった
「あの…雅紀。」
「知ってる。」
私が雅紀を呼び掛けると、雅紀は切なそうな表情でこちらを向いた
「知ってるよ、雪ちゃん。」
「え…?」
「雪ちゃん、あの先輩のとこ…行きたいんだよね?」
図星をつかれて、私は何も言えなくなる
「知ってたよ。
最初から行こうとしてたのも。
ねぇ、雪ちゃん。」
雅紀は私の名前を呼ぶ
「いいよね、俺。
このくらい雪ちゃんの時間を貰っても。」
笑っている雅紀の目から、涙が溢れ出した
「行きなよ、雪ちゃん。
ほら、急がないと花火始まるよ?」