桜が咲いたら
3章

決断

1時間ぐらいして

お母さんは、戻ってきた。

「ただいま」

「…何話してきたの?」

「手術の話よ」

手術……?

またするんだ……。

もう2度もしたけど何にも良くならない。

「どんな手術なの?」

「移植よ……」

「移植?」

お母さんは、心臓移植のことを

詳しく説明した。

「もうこれ以上治療を進めても、治る可能性は低いそうよ」

お母さんは、人事のように言う。

「そうなんだ…」

「でも、ドナーはまだ見つかっていないみたい」

あたしは、一気に現実に引き戻された。

ドナーがないんじゃ…

移植ができない。

もう…生きれる可能性がない。

「1人で考えさせてもらえないかな?部屋から出てって…」

お母さんは、静かに部屋を出て行った。
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