桜が咲いたら
2人の間には

微妙な距離感と

気まずい空気があった。

あたしは…

勇気を振り絞り言った。

「ねえ…剛…この前の…」

途切れ途切れ…

でも、ちゃんと言った。

「ああ…ごめんな…あのとき言えなくて…」

剛は、申し訳なさそうな表情と声で言っていた。

あたしは、首を横に振り

返事を待った。

「ごめん…俺、有香ちゃんをそんな風には考えられない…」

剛は、目を合わせてはくれなかった。

それほど、言いにくいことだったのだろう。

剛はあたしを振った。

でも、あたしは

当然のことだと思えた。

しょうがないと思えたんだ。
< 26 / 50 >

この作品をシェア

pagetop