桜が咲いたら
剛がいきなり立ち上がった。

「有香ちゃん…ごめん。今から診察なんだ…いかなきゃ」

あたしは、何度剛の申し訳なさそうな顔を見るんだろう。

「待って…」

あたしは、剛の白衣を掴んでいた。

「もう少し…もう少しだけ…ここにいてくれないかな?」

あたしは、そう言っていた。

剛は、分かったと言って

ベットに座った。

あたしは、剛の近くに行き

抱きついた。

「ゆ…有香ちゃん?」

「少しだけ…このままでいさせてよ…」

剛は、あたしの髪をなでた。

そのぬくもりが

嬉しかった。

ただの同情なのかもしれないけど

嬉しかったんだ。
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