桜が咲いたら
4章

望む

死を予想してしまう…

こんなに怖いなんて

思ってもみなかった。

怖い…

怖い…

そう心の中で何度も思った。



『ガラッ』

扉が開いた。

「有香~」

「お…お母さん!?」

「来ちゃった~」

お母さんは、陽気な表情でそう言った。

「来ちゃったって…」

あたしは、呆れた。

なんで、こんな言い方しかできないの?

ばっかみたい。

また、扉が開いた。

「有香ちゃん~」

看護師さんが来て

手術の話をすると言った。

部屋へ向かう。

あたしは、その部屋に行くまで

心臓がバクバクしていた。

死ぬかも知れない恐怖におびえて

自分の心臓と闘ってたんだ。
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