桜が咲いたら
手術まであと一週間。

あたしの命も

あと一週間って考えた方がいいのかな?

「ねえ…有香ちゃん、移植が成功したら何したい?」

剛がこんなこと聞いてきた。

「……恋がしたい」

「恋?」

「うん…」

「この16年間、俺だけ?」

「うん…」

「そっか~…」

剛は、少し困っていた。

「ねえ、剛?もう少しで…あたしも死ぬかも知れない…そんな子が恋してもいいのかな?……人を好きになりたいよ…」

剛は黙っていた。

あたしは、涙が出てた。

また剛の前で泣いちゃった……

「…有香ちゃん…いっぱい恋しよ。成功したら……絶対に成功させる。約束する」

そう言ってくれた。

「剛……大丈夫…別にね?死んでもいいから…絶対に成功させるなんて言わないで。期待しちゃうから……」

あたしは、そう言った。

死ぬのは怖いけど

死なないって期待する方が怖いんだ。

死にたくないからこそ…

絶対なんて聞きたくない。

ごめんね…剛。

あたしのために言ってくれたのにね。

もう…

精一杯生きたよ。

もう…

十分だよ。
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