運命 桜散る頃に
「満咲 入学おめでとう」

両親にそう言われ満咲は、ありがとうと微笑んだ

桜が満開に咲き誇る中、高校の入学式でそこはにぎわっていた


「満咲・・・本当に・・・おめで・・・とう」

満咲の母は涙を流してもう一度その言葉を言った

母が泣く理由を満咲はよく分かっていた

だから笑顔を見せた

母を安心させるようにと

「お母さん その涙は卒業式までとっておいてよ、ね?」

満咲がそう言って笑うと満咲の母もそうねと言って少しだけ悲しそうな笑みを見せた

「じゃぁ父さんたちは先に帰ってるな」

「できるだけ早く帰ってくるのよ」

満咲はこの後教室に向かわなければならないし、満咲の両親も今日はこの後仕事があったので二人はそう言ってまた少し微笑んでから満咲に背を向けた

< 2 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop