運命 桜散る頃に
「怖かったか?」


怜斗が訊ねると満咲は小さく首を横に振った


「怖くなかったよ 今も、死ぬことは怖くないの」


その言葉を聞いて怜斗は表情を曇らせた


「でも、怜とか霧恵さん、お母さん達と別れるのは……怖い」


満咲からこんな言葉を聞くのは、これで最初で最後だった


怜斗は何も言わずに満咲を抱き締めた


満咲が落ち着くのにはそれで十分だった
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