運命 桜散る頃に
「もし…、もし生まれ変わってまた出会えたら、また一緒にいてくれる?」


「あぁ……一緒にいる 絶対にお前を探し出すから」


満咲の手を握る力が強くなり、怜斗の頬を伝って、一筋の涙が流れ落ちた


「ありがとう」


そう言って、満咲は微笑んで、目を閉じた


開け放たれた窓から、風にさらわれた桜が迷い込み、満咲を隠すように舞った


それはどこか、幻想的で、儚い


怜斗に答えるように握り返していた満咲の手から力が抜ける


静かに、眠るように閉じられたその瞳が、再び開くことは無い
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