カルマ
「おい!大丈夫か?救急車!救急車ー!」
列の後方に並んでいた男達が、やっと呪縛から解けたかのように騒ぎ始めていた。
バス乗り場の周辺にいる人達も、尋常ではない雰囲気にざわついている。
杉崎が、平井の方を見ると、完全に顔色を失っていた。
(ドッドッドッドッドッドッドッドッドッ……。心臓の鼓動がおさまらない。
なんだ?
一体何が起きてるんだ?
こりゃ夢じゃないのか?
なんでバス乗り場に男が突然やって来て、切腹始めるんだよ。
大体切腹って!?
今は平成だぞ。
江戸時代じゃあるまいし……。)
列の後方にいた男達が、切腹男の安否を気遣い取り囲む中、男の体に次第に変化が生じ始めていた。
男の体が上下に痙攣し始めたのだ。
それは、大げさと言っていいぐらいの痙攣だった。
(ちょっと待てよ。
さっき腹を切った人間があんなに体を動かせるもんか?
意識がなくてもおかしくない状態のはずだろ?
下手したら、即死だってあり得るはずだ。)
男の体の痙攣がやみ、上半身がバッ!と起き上がった。
その瞬間、杉崎啓太はこの世の者ではない者を見た。
これから先、杉崎が何十年生きようと見るはずのない、出会うはずのない者。
列の後方に並んでいた男達が、やっと呪縛から解けたかのように騒ぎ始めていた。
バス乗り場の周辺にいる人達も、尋常ではない雰囲気にざわついている。
杉崎が、平井の方を見ると、完全に顔色を失っていた。
(ドッドッドッドッドッドッドッドッドッ……。心臓の鼓動がおさまらない。
なんだ?
一体何が起きてるんだ?
こりゃ夢じゃないのか?
なんでバス乗り場に男が突然やって来て、切腹始めるんだよ。
大体切腹って!?
今は平成だぞ。
江戸時代じゃあるまいし……。)
列の後方にいた男達が、切腹男の安否を気遣い取り囲む中、男の体に次第に変化が生じ始めていた。
男の体が上下に痙攣し始めたのだ。
それは、大げさと言っていいぐらいの痙攣だった。
(ちょっと待てよ。
さっき腹を切った人間があんなに体を動かせるもんか?
意識がなくてもおかしくない状態のはずだろ?
下手したら、即死だってあり得るはずだ。)
男の体の痙攣がやみ、上半身がバッ!と起き上がった。
その瞬間、杉崎啓太はこの世の者ではない者を見た。
これから先、杉崎が何十年生きようと見るはずのない、出会うはずのない者。