カルマ
第2章 運命の出会い
恐怖の為か、バスに乗ろうという人達も、我先にという思いが働き、押し合いのようになってしまっている。
いつもならスムーズに出来るはずの事が、このような状況下の為、何倍もの時間がかかってしまっていたのだ。
それは、自分だけは助かりたい、無事に家族の元へ帰りたいという、人の生への執着が生み出している状況だった。
「落ち着いて乗れ!大丈夫だ!列を乱すんじゃない!」
バスの入り口で、すでに乗り込んでいた60代前半ぐらいの男性が、バスに乗り込もうとする人々をうまく誘導していた。
切腹男の向かってくる方向から予測すると、奴が次に狙いを定めた人間は、杉崎と平井だ。
まさに、絶体絶命の状況であった。
(早く逃げろ!早く逃げなきゃ!本当に殺されちまうぞ。
ダメだ!体が言うことを聞かない!
絵理子……、俊輔……。)
「うわああああああああああああああ!」
切腹男が選んだのは平井だった。
平井の首筋にがっちりと噛み付き、首の肉をむさぼっている。
平井は苦しそうに、杉崎の腕をつかんだ。
(クソッ!平井さん……。次は、俺の番だ……。)
いつもならスムーズに出来るはずの事が、このような状況下の為、何倍もの時間がかかってしまっていたのだ。
それは、自分だけは助かりたい、無事に家族の元へ帰りたいという、人の生への執着が生み出している状況だった。
「落ち着いて乗れ!大丈夫だ!列を乱すんじゃない!」
バスの入り口で、すでに乗り込んでいた60代前半ぐらいの男性が、バスに乗り込もうとする人々をうまく誘導していた。
切腹男の向かってくる方向から予測すると、奴が次に狙いを定めた人間は、杉崎と平井だ。
まさに、絶体絶命の状況であった。
(早く逃げろ!早く逃げなきゃ!本当に殺されちまうぞ。
ダメだ!体が言うことを聞かない!
絵理子……、俊輔……。)
「うわああああああああああああああ!」
切腹男が選んだのは平井だった。
平井の首筋にがっちりと噛み付き、首の肉をむさぼっている。
平井は苦しそうに、杉崎の腕をつかんだ。
(クソッ!平井さん……。次は、俺の番だ……。)