カルマ
杉崎が編集長の佐竹から呼び出されたのは、そんな時であった。


「杉崎、黒川と修羅の繋がりのことなんだが、取材はここまでで打ち切りにしてくれ……。
これは、上層部からの命令だ。」

苦々しい顔で佐竹が言った。

「え!?冗談じゃないですよ!編集長!
もう記事に出来る段階まできてるんですよ!一体何があったって言うんですか?」

顔を真っ赤にして、杉崎は佐竹に詰め寄った。

「黒川が、総理も逆らうことの出来ない日本社会の影の実力者だということは、お前もよくわかっているだろ。当然、財界の方にも顔が効く。
うちに圧力をかけてきたんだ。
これ以上取材を続けるのなら、うちと広告契約している会社に圧力をかけて、契約を打ち切らせると言ってきた。
昨今の出版不況はお前も良くわかるだろう。企業との契約を打ち切られるわけにはいかないんだよ!
お前の気持ちはよくわかる。
だが、ここは耐えてほしい。」

「編集長、俺は今までの自分の苦労が無駄になってしまう、そんなことを気にしているんじゃないんですよ!
ジャーナリストであれば、圧力なんてのは、ある程度覚悟してなきゃいけない事だと思っています。
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