カルマ
国民に真実を伝え、社会全体で彼らの活動を監視すべきだ。
だが、もし記事にすれば、俺もタダではすまないだろう……、俺はどうすれば……。)


結局、杉崎は黒川と修羅との関係を記事にした。

佐竹の目を欺き、強引に記事にしてしまったのだった。

黒川は、修羅との関わりの釈明に追われる事となった。

他社を出し抜いた特ダネ記事により、雑誌は飛ぶように売れた。

しかし、黒川の脅しが現実となり、進化出版の広告契約から数社が実際に撤退してしまった。

本来であれば、首になってもおかしくないような会社への裏切りを杉崎は行ったが、仙台の系列小会社への出向で済んだのは、彼の今までの会社への貢献と、そして何より、雑誌の販売部数が一時的にではあるが、飛躍的に向上したことが考慮されてのことであった。

政治家と、カルト宗教団体の繋がりの記事を書いた事で、出向となった自分の赴任先がオカルト専門の出版社ということに、杉崎は人生の皮肉を感じていた。

本社を去る時に、同期入社の成松(なりまつ)が言った皮肉の言葉を、杉崎は忘れられなかった。

「杉崎~、自分は正しいことをしたと思っているんだろうけど、
はっきり言っとく、お前は甘い。
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