カルマ
スーツの袖をめくり、腕時計を見ると、液晶パネルのデジタル表示は19:42を示していた。
19:49分発なので、時間的にはまだ少し余裕があった。
バスは、いつも5分前には入線してくるので、あと3分少々かと思っていたところ、後ろから肩をポンと叩かれた。
「杉崎さん、こんばんは。今お帰りですか?」
振り返ってみると、杉崎の近所に住む平井文雄(ひらいふみお)だった。
杉崎より3つ年上の38歳で薬品会社に勤務していた。
帰宅時間が重なると、こうしてたまに出会うことがあった。
「あー、どうも。こんばんは!すいません、気がつかなくて。平井さん今日はまっすぐ帰宅ですか?」
「えー、給料今年に入ってから1割削減されちゃったんで、嫁にまっすぐ帰ってこいって言われてるんですよ。本当は飲んで帰りたいんですけどね。」
「ですよねー。うちなんか、去年からそんなんですよ。」
二人で顔を見合わせて、「ハハッ」と笑いあった。
3つ年上でありながら、気軽に話しの出来る、温厚な平井の事が杉崎は好きだった。
「あ、バス来ましたよ。」
平井が軽く指を指しながら教えてくれた。
19:49分発なので、時間的にはまだ少し余裕があった。
バスは、いつも5分前には入線してくるので、あと3分少々かと思っていたところ、後ろから肩をポンと叩かれた。
「杉崎さん、こんばんは。今お帰りですか?」
振り返ってみると、杉崎の近所に住む平井文雄(ひらいふみお)だった。
杉崎より3つ年上の38歳で薬品会社に勤務していた。
帰宅時間が重なると、こうしてたまに出会うことがあった。
「あー、どうも。こんばんは!すいません、気がつかなくて。平井さん今日はまっすぐ帰宅ですか?」
「えー、給料今年に入ってから1割削減されちゃったんで、嫁にまっすぐ帰ってこいって言われてるんですよ。本当は飲んで帰りたいんですけどね。」
「ですよねー。うちなんか、去年からそんなんですよ。」
二人で顔を見合わせて、「ハハッ」と笑いあった。
3つ年上でありながら、気軽に話しの出来る、温厚な平井の事が杉崎は好きだった。
「あ、バス来ましたよ。」
平井が軽く指を指しながら教えてくれた。